今回ご紹介するのは,中学受験合格を果たしたGHさん。
お問い合わせを頂いたのは小6の秋。中学受験は年明けすぐのため,果たして間に合うんだろうかというのが第1印象でした。
初回面談で話をよく聞くと,すでに大手の塾の中学受験コースに通っているとのこと。しかし,成績が思うように伸びておらず,悩んでいるようでした。
「中学受験に関して実績のない当塾になぜ…?」と当時は思ったものですが,体験学習初日にその疑問はあっさり解決。
学力チェックの結果,5年生の教科書レベルの分数計算,文章題でつまずいていました。これでは中学受験の難しい問題など,歯が立たなくて当然です。
勉強の苦手な生徒さんが集まるはずの塾で突然任された,中学受験指導。慣れないパターンに私自身試行錯誤しつつも,入塾4か月後には見事,札幌光星中学校への合格を果たしています。今回はそんなGHさんの頑張りをご紹介します。
1. GHさんの成長のタネ(取り組み)
自分で決めたことをやり通したい性格のGHさん。初回面談ではこと細かくお話しになるお母様に「それは違う,○○だからだ」とその都度かみ付き,どうやら反抗期が見え隠れする時期のようでした。
ただし,学力に伸び悩むのはGHさんもお母様も同じ思い。お母様のこと細かいお話もGHさんの小さな反抗も,すべては不安の表れ…2人の話に耳を澄ましているとそう思えてなりません。
大手の学習塾の中学受験コースに週3回,さらに習い事も複数通っており,当塾に通えるのは火・木・土の最大週3回,1日2時間程度。
算数は小5の教科書レベルからのスタート。そしてそれ以上に,基本的な文章読解力にかなりの不安があり,算数の文章題だけでなく,国語の要所要所で不用意に点数を落とす始末。
…この条件で,当塾ができることは自ずと決まっていました。基本的な文章読解練習と計算力を徹底的に特訓するしか術はありません。
先に通っている塾の受験コースは辞めたくないとのことで,それならば応用力の特訓はそちらに任せることにして,当塾ではGHさんの基礎学力を固めるため,基本レベルに絞った問題演習を大量に積んでもらいました。
塾での学習時間 | 算数の進度 | 備考 | |
小六・9月 | (入塾) | 小5 | |
小六・10月 | 30時間 | 小5 | |
小六・11月 | 22時間 | 小6 | |
小六・12月 | 27時間 | 小6 | |
小六・1月 | 20時間 | 中学受験本番 |
・入塾:小六の9月
もともと時間の制約があるので,学習時間は多い方ではありません。ただし,問題を解くスピードと集中力はピカイチ。塾に来るたび,短時間で大量の問題を解いていきました。
それでも,1学年分の算数を終えるのに2か月かかっています。国語に時間を費やしたという理由もあるのですが,最大の原因は,問題を正確に理解する力が不足していて不用意なミスを連発したことでした。
入塾してから1月の受験日までのほとんど,GHさんと共に悩んだのは応用問題でも過去問でもなく,基本レベルの問題で問われていることは何かを正確に捉えたかどうかの確認でした。
受験対策らしいことは何一つしないまま,中学受験当日。そして,札幌光星中学校への合格を見事手にしました!
初回面談であれほどピリピリしていた親子。合格報告の際こんなに仲良く話していたのは,今でも印象に残る大変嬉しい出来事でした。
2. GHさんの良かった点
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今回のGHさんの中学受験対策は,この一言に尽きます。難関校の受験になればなるほど,難しい問題ばかりに目が向きがちです。GHさんも当初はこれで悩んでいましたが,悩みのレベルが今の自分より高すぎることがわかると,基礎固めに全力集中するようになりました。
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「合格するために受験当日までに何をすればいいか」…基礎固めをスケジュールに取り入れながら,GHさんはこの点を常にはっきりさせて日々の勉強に取り組んでいました。自分で決めたことは自分でやり通したいGHさんの執念。人はスイッチが入るとまずはスピードが変わるのか,と私自身もGHさんの姿を見て感じたことでした。
3. 伸び悩みを打破する鉄則
さて今回のケース,受験合格の実績を作ったとは,私自身考えていません。
目標こそ「中学受験合格」でしたが,生徒さんの現状を分析した結果,基礎固めの演習だけで学力は十分上がると考えたからです。受験レベルの問題に触れずして受験合格実績を謳うのは,おこがましい気がしています。
当塾がやったのは立派な受験対策などではありません。今のレベルでは少し難しいが自分でできそうな,ちょうど良いレベルの演習を数多くこなし,少しずつ負荷を上げること。この繰り返しだけで,基礎学力は確実にアップします。
普段受験生を見ていると,「今の学力に対してレベルが高すぎる問題で悩む」パターンにはまりがちです。
階段をイメージすると,あまりに効率の良くない方法であることは一目瞭然。今の位置に対して高すぎる階段を登ろうとするわけですから,時間がかかる・先が見えない・挫折しやすい…良いことはほとんどありません。
勉強量のわりに伸びない人がそれを打破する鉄則は,今の学力と目標の差をはっきりさせること。そして見栄を張らず,ちょうどいい高さの上りやすい階段を1段1段上ること。
階段が上りやすければ,大量の問題演習で一気に駆け上がることもできます。とにかく,コツはコツコツです。
原因は「勉強がうまくできない自分」にあるのではなく「学力が確実に上がる勉強法になっていない」から。
上るべき階段と今の位置さえ分かれば,あとはひたすら上るだけ。学力は自然と身についていきます。
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