【成長のタネ】「小さい頃は勉強好きだったのに」…転塾を繰り返した中学生/当塾生第1号のASさん

 

今回ご紹介するのは,記念すべき当塾生第1号のASさん。

 

おうちの方が近くを通りがかったところ,できたばかりの当塾をたまたま見つけたとのこと。

 

勉強は苦手…ではなく,むしろ成績は良い方。ならば塾を探す必要はないのでは? …ところがよくよく話を聞いてみると,過去に転塾を繰り返した末,今はどの塾にも通っておらず,勉強から目を背けてしまっているとのこと。当然,親子関係は言わずもがな。

 

小さな頃は考古学者になりたいと言って,あんなに勉強好きだったのに…

 

親御さんの溜息が混ざった言葉。その所々に,我が子との向き合い方に悩む姿がありました。

 

「うちも早々に転塾かもしれないな…」と直感した私。ところが後に,私自身も全く予想しなかった長い長いご縁をいただくことになります。

 

当塾の8年間を振り返っても,一風も二風も変わった成長のタネ。そんなASさんのタネを今回はご紹介します。

 

 

 

 

1. ASさんの成長のタネ(取り組み):中学2年…反抗期,そして退塾

 

例によって自分の希望ではなく,おうちの方に半ば強制的に入塾させられたASさん。

 

おうちの方が当塾に要望する熱の高さとASさんの冷めた勉強意欲のあまりの差に,お互いの言い分を聞きながらバランスをとる,そんな日々が続きます。ご家庭へ訪問することもしばしば。

 

勉強に目を背けている状態とはいうものの,持っている学力は決して低くはなく,嫌々ながらも勉強すれば点数は自然と上がりました。

 

国語 社会 数学 理科 英語 5科合計
中一・学年末(入塾前) 75 68 74 65 80 362 (282)
中二・1学期 86 90 88 72 94 430 (303)
中二・2学期 95 90 97 89 86 457 (286)

*5科合計の( )は学年平均点

 

入塾前より5科合計で100点近く伸び,おうちの方の不安も少し和らぐかなと思いましたが…

 

次の目標は5科480点。毎週土曜日は10時間勉強させてください。塾がない日は必ず宿題をたくさん課すように。

 

おうちの方の要望はどんどんエスカレート。言うまでもなく,ASさんの勉強意欲は下がるばかり。塾をサボる様子も見られるようになり,結局1年後の中三の夏,退塾してしまいました。

 

 

2. 高校受験…突然の再入塾

 

中三の夏に退塾してからしばらく経った中学最後の冬休み。ASさんの保護者様から「再度当塾にお世話になりたい」と突然の連絡。

 

当塾を辞めた後もやはり別の塾に行っては辞め,といった様子。そして嫌でも次の進路を決めなければならなくなったとき,当塾で再度頑張りたいとASさんが自ら申し出たとのことでした。

 

気持ちは嬉しいのですが,目標とする札幌西高校で,直前1月道コンの合格可能性はわずか11%。上位高を目指すならこの時期身に付いていて当然の基礎基本が,1月の時点でかなり抜け落ちていて合格は絶望的でした。

 

退塾前とは一変して意欲的な姿を見せるも,志望校の札幌西高校は残念ながら不合格。滑り止めとして受験した私立高校に進学しました。わずか1か月の塾の在籍で,私も十分な力になることは叶いませんでした。

 

 

3. 大学受験…またしても突然の再入塾。自分の意欲と力で見事志望校合格

 

ところが,ASさんとのご縁は高校受験で終わりではありませんでした。

 

高校受験を終えて退塾してから1年半後の高二の秋。またしても「当塾にお世話になりたい」と,今度はASさん本人から突然の連絡が。

 

久しぶりに再会すると,開口一番に「高校辞めました」。今はアルバイト生活だが,高卒認定試験を受けて,それから大学受験まで頑張りたいとのことでした。

 

学習時間 備考
高二・10月 77時間
高二・11月 41時間
高二・1月 34時間 12月家庭事情のため1か月中断
高二・2月 25時間
高三・6月 61時間 3~5月コロナ禍のため時間記録せず
高三・7月 43時間

*便宜上学年表記しています

 

アルバイトとの両立,オープンキャンパス,コロナ禍等で,飛び抜けたような学習時間の多さではありません。しかし,嫌々やらされていた中学時代を見ていた私としては,驚くほどに密度の濃い勉強をしていました。週末に自主的に取り組んだたくさんの問題に目を通すのに,週明けの月曜日は私もぐったりしていた記憶があります。

 

高卒認定試験を無事クリアし,あとは大学受験までまっしぐら。受験直前まで当塾で頑張り続け,最終的には関西外国語大学への合格を見事手にしました!

 

大学に入ってからも,帰省したときには当塾に何度か顔を立ち寄ってもらえて,大学生活を謳歌している様子でした。

 

 

4. ASさんの良かった点

 

  • やりたいことを妥協せず徹底した

 

初めてASさんに会ったときは勉強から目を背けている状態でしたが,今思えばそれは親御さんへの反抗心への表れで,勉強そのものが嫌いなわけではありませんでした。自分がやりたいと思う内容,たとえば学校の授業よりも高度な問題には,積極的に挑戦する姿もありました。親御さんにもその姿は次第に伝わり,ASさんの思いを尊重されるように。高校受験はうまくいかなかったものの,大学受験で合格を勝ち取ったのは,親御さんの理解があったからこそのように思います。

 

 

5. 「うちの子勉強しない」悩みを解消させる鉄則

我が子の勉強や塾に対して一見過度とも思える要求をしていた,おうちの方の後日談。

 

勉強しなさいとあんなに言い続けたのに全く聞かなくて。ある時ふっきれたんです。もうどうでもいいやって。でも高校受験前になって突然マドルに戻りたいというから,だったらもう完全に任せようと思って。

 

これまでの親御さんの悩みともどかしさが詰まった言葉のように思いました。「どうでもいい」とは言いつつも,日々悩みは尽きないまま当塾に任せていただいたであろうことは,想像に難くありません。

 

しかし,任せてくださったことで,最終的には自分から勉強に向き合うようになったこともまた事実。

 


 

話は変わりますが,当塾で新規の方との面談の際,「うちの子,家では勉強しないんです」という悩みがよく聞かれます。

 

「お子さんにとって,ご自宅はいい意味で気持ちが落ち着く場所ということ。家では勉強しにくい家庭環境の方もいるので,まずは勉強しやすいと思える環境に身を置いてみましょう」と,私はお伝えしています。

 

大人も自宅に帰れば仕事のことを考えたくないはず。子どもだって同じ。自宅では自分の好きなことでくつろぎたい。ある意味自然な発想のようにも思えます。

 

「私,勉強しなさいって言い続けているな…」と親御さんがストレスを感じたら,子どもはその3倍ストレスを感じている,と思っていいでしょう。

 

大切なのは,親御さんひとりで抱え込まないこと。同じことを伝えるにしても,言う人が違えば受け止め方も変わってくるものです。まずはストレスの中身が何かを客観的に分析することで,自ずと打開策は見えてくるかもしれません。

 

当塾を開業して8年。環境が整うだけで,あとは自分の力で学力を上げる生徒さんを多数見ています。ご相談だけでしたら無料です。お問い合わせフォームより,お気軽にお尋ねください。

 

最後に…当塾に来てからも気になることは多々あったはずですが,最終的に当塾に任せて頂いたことが,こんなに長いご縁を頂く理由となったことは間違いありません。高校・大学と2度の大切な受験を小さな当塾に任せてくださったASさんおよび親御様に,深く感謝申し上げます。

 

 

2024年6月13日 | カテゴリー : 成長のタネ | 投稿者 : 鈴木 純一